「女たちの大陸逃亡記」を読んで
中京支部 会長 原田 登(高十二回卒)
昨年六月に、中京支部第三十四回総会が名古屋市内で開催された。 懇親会も後半に入ろうとする頃、私のところへ「本を出したので、そのことを今日出席されている皆さんにお知らせしたいので、少し時間をください。K先輩にも私の事はお話してあります。」と少し遠慮がちに申し出てこられた女性があった。 高十三回卒の横山憲子さんその人である。 彼女の生い立ち、プロフィールは、ここで紹介するまでもなく、この本を一読すればわかることであるので省略しますが、現在愛知県豊田市在住。中国語通訳(通訳案内士、法廷通訳ほか司法全般、残留邦人の自立支援相談員(自治体)など中国語を活かした幅広い活動をされている。 ところで、その時はほんの五分位の言葉だけの話では、充分呑み込めておらず、頭の隅にそのまま仕舞い込んで忘れていました。 その後「関東あまたか会」のH・Pを観る機会があり、当ホームページトップと会報二十九号に「手記の紹介」と題して「女たちの大陸逃亡記」「風媒社、著者横山(旧姓荒木)宣子」と記載してあった。 横山さんは、中京支部の会員でもあり、他支部の情報から耳目に触れたことで、後れを取って申し訳ない気持ちと自分の無知と浅はかさに呆れました。早速近くの書店で購入を申し込んで手に入れることが出来ました。 横山さんは、私とほとんど同世代であり、文中にもたびたび頷くところがあります。
「自分の戦争体験を残さなくては…」と思い立ったのは平成十八年、六十五歳の時だそうです。戦前戦中生まれの方が少なくなった現在、そしてややもすると昔へ回帰しようとする機運にある中「私のような体験を二度としてほしくない」という気持ちから出版されたことは、良い機会だったと思います。(完)
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